スモールステップ

スモールステップとは、元々はスキナー(Skinner,B.F.)の提唱したプログラム学習における用語で、プログラムのレベルや課題を細分化して、無理なく効果的に学習を進めていけるようにしたものを言います(日本文化科学社 LD・ADHD等関連用語集第3版より)。

 

以前に、保護者からこんな相談を受けました。

先生に「子どもがリコーダーが苦手だからスモールステップで指導をしてください。」とお願いをしたら、「1ページの楽譜を四つに分けて指導をしています。」と返答がありました。私はスモールステップなのだから、まずは指使いから指導をしてもらえるものだと思っていたのですが違うのでしょうか。

スモールステップという言葉には、保護者と先生の間に共通の理解がありました。ただし今回の場合、お子さんがリコーダーに対してどのような苦手さがあるのか、両者の間で共有をすることができていなかったことに問題がありました。保護者は指使いに対して、先生は楽譜に対して、お互いに子どものことを思っての対応だったのですが、結果として両者にわだかまりが残ってしまいました。

 

お子さんの苦手さについて、保護者と先生に共通の認識を持つことはとても大切です。今回の例では、リコーダーの指導についてでしたが、お子さんがどの段階でつまづいているのかを明確にしておくことが必要です。「指使い」一つとっても、どの音階までなら正確に行うことができているのか、指使いだけの問題なのか、目標の設定や教材教具(補助)の検討なども必要となります。

保護者と先生が共通した目標を掲げることによって、家庭でできること、学校でできることの役割を分担することができますし、お子さんの成長を共に実感することができます。

また、子ども自身が目標(変更・調整可能な)設定に参加することも大切です。3者が共有した目標を基にして、家庭でできる指導と学校でできる指導を分担しながら、スモールステップで取り組んでみてはいかがでしょうか。